最後は笑っておしまいだったが

とある総菜屋で女房の後輩にばったり会った、
「○○さん久し振り」「エッFさんですか、どうしたのですか今日は」
「女房が男をつくって出て行った」「やっぱり」
その後、お互いにワッハハと笑って、たまには遊びにおいでと言って別れた。さすがにおばさんになると、こちらの攻撃にも動じない、逆ねじを食らってしまった。
 仕事で、ちょっとした参考資料を自分なりに作った、確認したいことがあるので、担当部署に電話した。
「ここのところがどうなっているか、後で教えてくれ」
「はい、今、担当がいないのでよく調べて連絡します」
「急ぎではないから」
そんな会話があってから、5分後に担当が資料を持って尋ねてきた。ありがとうここだけ確認したかっただけだからと話したが、相手はちょっと緊張していた。
 そのさまを観ていたT君がニヤニヤしていたので
「よくわからないけれど、俺が何か尋問でもしているようだったね」
「Fさんから電話があって、あわてて何のことだろうと思いどんな詰問されるか恐る恐る来たんでしょう」
「もしかして、えらい怖い人間に思われているようじゃないか」
「そう思っているのでしょう」
お互いにワッハハと笑ってその話は終わりにした。
 最後は笑って終わりにしたことが、これからのことをちょと考えさせられる二態であった。 

  1. かつての上司

 私は、現在の職場で来年でもう27年がたつ、30歳そこそこの時によく飯をご馳走になり仕事の取り組みなどを本当にお世話になった人が年が明ければ退職する。
 何年か前、宴席でそうとう酩酊してしまいしどろもどろになりながら「今の自分の姿があるのは、Mさんのおかげだ。だから自分は生意気だけれどMさんが有終の美を飾ってもらいたいと思っている、その手伝いをやっとできるところまで来た。いろいろ私にあるだろうけれど、使ってもらいたい云々」と言ったことがある。その時Mさんの眼にはちょっと涙がにじんでいた。
 娘さんも結婚し今ではお孫さんを抱いているMさんだが、40歳ちょっとすぎたあたりは、脂が乗り切っていた。部下も何人かいたが筆頭の生意気頭は30歳そこそこの私、今から考えれば恥じ入ることばかりだけれど、その時は真剣だった。
 現実には、Mさんの本意でないことを推進したりしている。でもこれはMさんに教わったとおりのことをしているからそうなってしまった。
 何でこんなことを思い出しているかというと、退職のお祝いを何かと考えているからなのです。