いつかあった光景

夕方定時を過ぎた頃、同乗していたH君の携帯が鳴った
「今日アルコール用意していないよ」
「いいよ」
「ケーキは云々」
「わかったよ」
随分と私に遠慮した会話だった。
「アルコール今夜は抜き?」
「エー、誕生日だけれどどちらでもよいので」
「いくつになったの」
「34歳です」
「若くていいね、20年位アッというまだよ」
おじさん夫婦から見れば君達夫婦は羨ましいというか、ままごとだねといいかけて眼を瞑った。