義父とお酒

 ひめさんとのやりとりで、コメントできなかったことをひとつ。
 結婚したての頃に、女房の実家から夕食に招待された。義父は、晩酌は日本酒を1合が適量である。
 私と二人で席について、義母と女房がせっせとおかずを出し始めた頃、
 「ちょっと先に一杯飲むか」
 「ハイ」
 「お母さんビール」と義母に呼びかけ、ビールが1本出てきた。(実家なら5本くらい出てくるであろう)
 「どうぞ」といいながら、コップに互いにビールを満たした。
 「ちょっと、先にいただくか」という義父の合図で飲み始めた。
 当時は、若くお酒も強かったので、不祥の娘婿は、舅がコップのビールを1杯飲み干す前に、なんと、自分のコップのビールと、残りのビール瓶のビールを手酌で飲んでしまった。
 義父は、ちょっと驚き「おかあさん、ビール」と催促した。
 「ビール、お父さんの横に置いたよ」と義母の声
 なんとも切なそうな声で「もう終わった」
 こんな出来事があって以来、私が夕食にお邪魔するたびにビールが3本くらい出るようになり、義父は、いつもどおりに日本酒を飲むようになった。
 そして女房の親戚の間では、「○○子は、苦労しているらしいよ」という噂が流れたようであった。その証拠に、女房のおばあさんが95歳で天寿を全うした時に、忌明けなどで親戚中からお酒を勧められ、緊張していたからだろうがあまり酔わなかったら「やっぱり、○○子のだんなは、お酒が強いね」と女房の伯母さんから言われたことを思い出した。