言い訳のF

なかなか寝付けずにいたら、C肝で入院していた頃のことを思い出してしまった。入院が2月だったので、今夜と同じくらい星が綺麗だったことや、寝付けずに病室から見た吹雪の夜のことなどだ。あの時に思った家族、両親、これからへの不安などが思い出される。
 今の自分が何をしなければいけないのかわかっているけれどできない。過去にあった人生の岐路(そんな大げさでもないかな)のことも頭に浮かんでくる。
 30年前に駅のホームで言葉も交わさずに別れた友、もう言葉を交わしたくてもこの世にはいない。その幾日か後に事故で死んでしまった。あれから30年、倅がその齢になっている。過ぎてきたことはアッという間だった。
 今日、新聞記者さんから電話取材を受け「アヒルの水かきですよ」と言い訳がましいことを言った。もう30年以上も前に福田総理の親父さんが外相だった頃に、日中国交回復についての質問を受けた時の回答だったと思う。アヒルはなんでもないように優雅に浮いているが、水面下では一生懸命に泳いでいると言うようなたとえだったと思う。もしかしたら、齢を食って言い訳だけが旨くなってしまったかも。