小僧の親父

 激しく高まってくる気持ち。熱く燃え滾る心、そんな心理状態になりこういうことを経験して、どんなに時代が変わっても変わらない筋道が見えてくると確信していた。
 もう30年以上前の俺だ。
 朝、小僧を高校まで送って行く、隣の小僧は、携帯で音楽を聴いている。この位の歳には、こんなことを考えていたななんてふと思いだした。
 自分によく似た小僧だけれど、太ももの太さ、胸囲、お尻の大きさもう越されている、体格だけならもう立派な若い衆だ。何を考えているのかさっぱりわからない、中間試験の終わりに「お父さん、7月のテストは頑張るから」と決意表明を聞かされていたが、夏の陣も惨敗の様子、悪びれるわけでも、奮起するわけでもない、でも昨夜「中学よりは高校のほうが面白い」と言っていた。自分によく似た私の子どもだからしょうがない。
 その親父も、「暑いな、蒸すな、早くビールでも飲みたい」そんなことを考えているのではだめかな。